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ムカつく。 橘の事、なんも知らねーくせに。 「武藤(むとう)?」 名前を呼ばれてハッとした。 正面に座ってた長谷川が不思議そうにこっちを見ていた。 「どうした?険しい顔して。弁当食わねーの?」 「あ。いや。食う!食うよ!あー、腹減ったー」 無理やり茶化したように言ってカバンから弁当を取り出した。 変に思われたかな。 「変なやつ」 隣に座ってたやつが呆れてる。 ・・・やっばり。 それでも俺が弁当を広げ始めると、友人たちは昨日のテレビの話なんかで再び盛り上がり始めた。 高校入って、同じ中学だったやつらとはクラスが離れた。 一緒だったのは橘だけ。 だから今、一緒にいる友人たちは俺と橘が中学で親しかったのを知らない。
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