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ハイ、何故にこんな恋愛履歴が、頭の中を駆け巡ったかといいますと。
だって、やっぱこれって、アレ、…?
…“お誘い”?なんて思ったわけで。
赤い眼鏡をかけろ、ってことはだよ?
私に、“萌”的なものを要求してるわけ、でしょ?
私がそれをすることによって、この少年は欲求を満たされるってワケでしょ?
ていうか、それ以外考え付かない私の頭って、貧困?自意識過剰?
…欲求、不満?
「…中野、さんちの息子さんだよね…?」
確か、姓はそうだったと思う。
冷静を装いつつ、私は彼に問いかけた。
「突然でびっくりしちゃった、…ウチの前で座り込んでるから、具合でも、悪いのかと思って…」
「……」
「もう、8時過ぎてるけど、…ご飯、食べたの?ここで何してるのたの?」
あまりまとまりのない質問を投げ掛けつつ、私は部屋の鍵を探すフリをした。
本当は、バッグの内ポケット、そこに鍵があるのはわかってる。
だっていつも習慣でそうしてるのだから。
ただ、こんな子供に、ちょっと性の匂いを感じてしまった私は、動揺してそんな行動をとった、のだ。
少年は、そんな私の様子から、わざと目をそらしながら呟いた。
「ウチ、親父しかいないし…、大体、仕事で遅いんで…」
「そうなんだ、お父さん、何時ごろ帰ってくるの?」
「…夜中、いつも、2時過ぎたり」
「じゃあ、ごはんとか、どうしてるの…」
「夜は、食べないこと、多くて、…朝はすこし。昼は、購買で何か買ったり」
「そんな、…それじゃ」
私は、次に彼にかける言葉を、探しながら顔を上げる。
まだ幼さの残るその少年は、ひどく弱々しくみえた。
私は、若干躊躇しつつも、彼を部屋にいれる心構えを、頭の中で巡らせていた。
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