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部屋に入ると、彼は落ち着き無く、低めのテーブルの横に腰をおろした。
どちらかといえば殺風景な私の部屋。
女らしいものはほとんど無く、モノトーンでまとめられた、居心地の悪い空間。
いや、男、にはそうでもないのかもしれない。
むしろ、こんな部屋のほうが、…-
私は、とりあえずサラダをつくりながら、彼にコーヒーをいれて差し出す。
「砂糖、いる?」
「いえ、…ブラックでいいです」
子どものくせに、と
私は少し笑った。
結局、出来上がったものはというと、
“オムライス”。
子供といえば、そんなイメージだったし、あるもので作れる料理といったら、コレぐらいだった。
盛りつけを少し豪華にしてやると、彼は予想以上に驚いて、店で出てくる料理だ、などと、大げさに言った。
ただ、食べるだけでは間が持たないと思い、私はTVをつけながら、さりげなく聞いた。
「中野君は、…いくつなのかな」
「17です」
「じゅ…」
わかっていたはずなのに。実際の年齢を聞いて愕然とする。
(こんな子供を部屋に入れて…私ってば、何やってるんだろ、)
ショックを隠しきれず押し黙った私に、今度は彼が質問してきた。
「お姉さんは、いくつですか」
「…女のひとにトシをきくもをじゃないって、」
私は苦笑してそう答える。
さっき一瞬でも、この子に“オス”を感じてしまった自分が恥ずかしい。
(そうだよ、こんな子供が、何をすると思ったんだろ私ってば)
一気に緊張が解けた私は、ふっと笑いをもらした。
「私はね、25だよ。君とは八歳も離れてるんだね」
笑いながら言うと、彼はじっと私の顔をみつめた。
「…おれ、まだ、全然ガキですから」
一言そう言って、サラダには見向きもせず、メインばかりを口に運んだ。
「うまいです、すごく」
言いながら、1人でほぼ食べつくしてしまった。
私は、彼の食べっぷりを眺めながら、サラダを少しつまむ。
先刻、入り口付近で考えていた事など、とうに頭の中から消えていた。
最初に何を言われたのかも、その時は忘れていた。
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