始まり

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「好きなやつ、いないのか?」 2年の初夏、修学旅行に来た。 現在、旅行最終日の夜。 特に問題もなく、俺達は食後に男部屋でくつろいでいた。 話が盛り上がってきた頃に、治が言い出した話題。 異性に興味のある年頃と言えば聞こえは良いが、ただの値踏みのし合い。 調子に乗って、何組の誰々の胸が大きいとか。 治「匠、寝ちゃったのか?」 船田治は親友というか腐れ縁で、小さい頃からずっと一緒だ。 ちなみにあだ名はフナムシ。 あの岩場とか船の下にいる虫だ。まぁ言い得て妙かな。 匠「起きてる」 治「なんだ匠、好きなやついないの?」 匠「いたらいいなとは思うけどな」 今まで考えたことはなかったから、そういう感覚に慣れていない。 治「貴様などウジ虫だ、いやウジにも劣るね!」 匠「お前だって、フナムシだろ?」 治「人のあだ名なんて、ほっといてよ」 だけど、こういう時には何となく疎外感を抱く。 俺って冷めているんだろうか? 男子A「よせよ治、匠には波多野って安パイが居るからな」 男子B「そうそ、俺たちみたいに不景気な顔つつき併せて不毛な会話なんて興味ないって」 波多野小奈美は、俺の幼馴染み。 小奈美と治、後もう一人、海老塚信乃をいれて、幼い頃から一緒にいることが普通な間柄。 治「いやいや、そういう奴に限って虎視眈々と獲物を物色してるんだよ」 匠「しないって」 男子A「けどいいよな、お前らは。海老塚だって結構いけてるよな?」 男子B「性格最悪だけど」 治「俺には関係ないって」 男子A「嘘つけ、仲良いんだろ?」 男子B「波多野なんてかわいくて胸があって性格良くて」 男子A「更にだ、天真爛漫な俺のアイドル沙奈ちゃんも……匠、お前俺達の為に死んでくれ!」 匠「死んでたまるかっ」 沙奈は俺の義妹だ。 なんというか、いつまで経っても子供って感じで守ってやらなきゃなつて思う間柄。
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