木曜日―A

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金曜日…… 何事もなく授業が始まり何事もなく授業が終わり、放課後由香の元へと向かう。 「明日はどおしよっか」 明日は土曜日。 やっと平日が終わり休日となる。 「デートでもするか」 「やったー。その後は彰太の家に遊びに行ってもいーい?」 上目遣いでこちらにうるうるとした瞳を見せる。 これでお願いされたら何でもうんと頷いてしまいそうである。 もう、由香が俺の家に泊まり掛けでくるのは珍しいことではなく1ヶ月に一回は必ずお泊まり会をしている。 「ああ、良いぞ」 「わーい。彰太大好きー」 俺に飛びかかるように抱きついてくる。 由香を抱き止めゆっくりと足を地に着かせる。 「俺も由香のこと……」 「聞こえないよー」 「すっ、好きだぞ」 「真っ赤になっちゃってー。もう、可愛いんだから」 端から見れば小さい女の子にあしらわれてる残念な男のように見えるだろう。 というかその通りだ。 「じゃ、明日の準備があるからさっさと帰ろー」 また強引に腕を引っ張られ教室を後にした。
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