木曜日―A

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由香は問題集を俺の部屋の真ん中にあるテーブルに置く。 「彰太も来て。はーやーくー」 仕方がないので俺は問題集を机から取り出し、由香の後に続いて勉強を始める。 だが、勉強なんか一時間立てば飽きるものでして…… 気がついたら由香のことをずっと見ていた。 対して由香はすらすらと問題を解き続ける。 ……………俺も頑張らなきゃな。 なんて思ったが問題集を見ては飽きての繰り返しで時計を見るとなんと、あと30分で日付が変わる時間だった。 もう勉強は無理だー。 とうとう俺は持っていたシャーペンを置いて由香をじっと見つめる。 ふんわりとしたショートヘアーに長いまつ毛、くりっとした目にちょこんとある鼻、そしてほんのりと赤みがかった唇。 やはり、由香を超えるやつなんてそうそう居ないだろうなと、うんうん頷きもう一度顔あげると由香がこちらを見ていた。 「私の顔になにかついてる?」 「いや、ちょっと見惚れてた」 「勉強たいむ終わりー。後は恋人同士楽しみましょ」 由香は立ち上がっていきなり俺に抱きつく。 「ゆ、由香……」 「彰太……」 由香が唇を前につき出してくる。 俺も唇でそれに触れようとする。 が、突然の睡魔が襲ってきた。 なんだ……これ……
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