木曜日―A

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気付いたら朝になっていた。 小鳥のさえずりが俺の頭をすっきりとさせてくれる。 昨日は由香が来て…… あれ、由香が居ない。どこへ行ったんだろうか。 トイレかなと思って待ってみても戻ってくる気配はない。 俺は自分の部屋を出てリビングへと向かう。 「母さん、由香は?」 「何言ってるの。あまりにも由香ちゃんのことが気に入っているのね」 「そうじゃなくて。昨日泊まりに来ただろ」 「誰が?」 「由香以外に誰がいるのさ」 「昨日は泊まりに来てないでしょ。まだ寝ぼけてるのかしら。早く着替えないと学校に遅刻しちゃうわよ」 「何言ってるんだ母さん。今日は日曜日だよ」 母さんは意地悪い笑みを浮かべた。 「何言ってるの。今日は木曜日よ。本当に由香ちゃん色に染まったわね」 今日が木曜日? 意味がわからない。 そこらへんに捨ててある新聞を見る。 六月十二日木曜日と書かれていた。 いや、そんなはずはない。 俺は部屋に戻り携帯を開ける。 「……………」 そこにも6/12 THUと書かれていた。
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