プレイボール

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入学式が終わり、春の暖かな風の吹き込む1ー1の教室、周りは見知らぬ人ばかりで見慣れない風景の中その少年は、いた。     (あいつ頭良さそうだな、絶対友達になれなそう…あいつ顔と体の比率あってねぇし…あいつ…)   七村 拓実。粕部中学の元エース。172センチ60キロ。球速は、硬球では120後半くらいで球種は、ドロップカーブのオーバースローだ。   今、拓実は新しいクラスメートたちの一人一人の評価を付けて時間を潰していた。何故なら担任の話が、異常に長いからである。 出身地の紹介やら、家族の紹介、それに好きな女優についても喋っていた。     (興味ねぇーつーの。早くしてくれよ、部活の見学したいんだからさ…おぉ、もうやってんじゃん野球部)   拓実の席は、窓際なため窓から野球部のグランドの風景が、良く見えるのだった。     「七村君、野球部入るの?」 拓実が、ボケッと窓の外を眺めていると不意に隣りの席から声が掛かった。   「そうだよ。中学でも野球やってたし、野球好きだしね」   「そうなんだ♪私も野球部のマネージャー志望なんだ、ヨロシクね♪」 隣りに座る少女は、おもむろに手を突き出してきた、拓実もそれに応えて   「ヨロシク…えっと…中西さん。あと、七村じゃなくて拓実でいいよ」 そう言って軽く握手した。
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