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これは、まだ僕たちがデビューして間もない頃の話。
この頃はまだ、今のように人気があるわけではなく、事務所の社長からも
『事務所始まって以来のお荷物グループ』
と言われてしまうほどだった。
この日は地方で雑誌の撮影。笑いたくもないのに笑顔を要求され、きせかえ人形のように衣装を替えたり、慣れない撮影に心身ともに疲れ果てていた。
今のような人気がなかった僕たちは、泊まりがけで撮影なんてことはしょっちゅう。そして、ホテルでも2人部屋に3つの布団を並べて寝ることは暗黙の了解だった。
僕はこの時期、正直自分たちが、この先どうなるのかとても心配だった。これは僕だけに限らず、今は違う道を進んでいる森くんを含め、SMAP全員がそうだったと信じている。
この日も、僕は吾郎さんと慎吾と同じ部屋だった。
「ねぇ、吾郎くん」
「……何?」
「僕たち、これからどうなっちゃうんだろ…」
左隣で背中を向けていた吾郎さんに聞いてみた。右隣では慎吾が枕を抱えて寝息をたてている。
「……知らないよ。なるようにしかならないんじゃない?」
寝ていたところを起こしてしまったらしく、ちょっと不機嫌気味に吾郎さんは言った。「僕……これからもSMAPでいたいな」
「そういうことは僕に言うんじゃなくて、リーダーに言いなよ。明日も早いからもう寝るよ」
そう言うと吾郎さんは再び背中を向けた。しばらくすると規則正しい寝息が聞こえてきた。僕は、隣の部屋の中居くん、木村くん、森くんの顔を思い出し、そっと目を閉じた。
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