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………
「……つよぽん、おい、起きろーっ!!」
突然大きな声で呼ばれてビックリして顔を上げると、目の前に慎吾の大きな顔があったので、思わずのけぞってしまった。
「大丈夫?ずっと何か言ってたけど…」
本を読んでいた吾郎さんが立ち上がると、コーヒーを注いで僕の前に置いてくれた。
今日は週に1度のスマスマの撮影の日。メンバー全員が顔を合わせる日だ。中居くんと木村くんはスタッフに呼ばれて出て行ったきり戻ってこない。この広い楽屋には、あの日と同じ3人がいる。
「…ねぇ、吾郎さん」
「んっ?」
僕の隣で分厚い本を読んでいた吾郎さんは、途中にしおりを挟み、目の前のテーブルに静かに置いた。
「僕たち……、これからどうなってくんだろうね…」
吾郎さんは、テーブルに置いたコーヒーに口を付け、小さな音を立てて飲んだ。僕の前で台本を読んでいた慎吾は、顔を上げて言葉を待った。
吾郎さんはしばらく額に指を当て、何かを考えた後、僕と慎吾を見据えて、
「本当にどうなって行くんだろうね……でも僕は時間が許す限り、みんなと同じ未来を描いて行きたいと思ってるよ」
と言った。
「俺も……。中居くんと木村くん、吾郎ちゃんとつよぽんと一緒に……」
「あと1人、忘れてるだろ?」
慎吾が言った次の瞬間、入口の戸が開いて中居くんが戻ってきた。
「な、中居くん聞いてたの!?」
僕たちは驚いて言った。
「べ、別に聞いてたわけじゃねぇべ!?慎吾の声がでかいから聞こえたんだよ!!それよりお前らいつまで休んでんだよ。歌撮り始めるぞ」
妙に慌てる中居くんがおかしくて笑っていると、
「……何笑ってんだよ、早く行くぞ」
ムスッとした顔でそう言い残し、スタジオに戻って行った。
「さっ、木村くんに文句言われないうちに行くよ」
吾郎さんの声で、慎吾と僕も楽屋を出た。
スタジオへと続く長い廊下を歩きながら、さっきの中居くんの言葉を思い出した。
`あと1人忘れてるだろ,
そうだ。僕たちの中ではSMAPは永遠に6人なんだ。
たとえ進むべき道は違っても、僕の、僕たちの大事な仲間。
これからも5人で、いや6人で同じ未来を描いて行きたいな。
終わり
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