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「はぁ~………」
今、俺は右手に手紙を持ち、ある人の楽屋の前にいる。
(こんなの渡せないよ……)
俺は、入口に貼られている名前を見て大きなため息をついた。
俺の名前は大野智。
嵐というグループの中で、一応リーダーをつとめている。
俺らは10年と言う間、ファンのみんなの暖かい声援のおかげで、ここまでやって来られた。
今まで歩いてきた道は決して楽じゃなかったけど、これからもずっとこのメンバーでやっていきたい。そう心から思っている。
「今まで30分だけ放送してたけど、来月から1時間になって、ゴールデンに進出するから」
収録の合間、楽屋で突然番組スタッフの岡島さんから言われた言葉。俺らは嬉しくて、思わず肩を抱き合った。
`ゴールデン進出,と言うことで、やっと世間から認められたような気がして素直に嬉しかった。
「それで……」
一呼吸おいて、彼はこう続けた。
「今まで出たことがなくて、ゴールデン1発めに相応しいタレントを探してるんだよね」
この声を受けて、さっきまで喜びに包まれていた楽屋が、急に静まり返った。
「…そんなに難しく考えなくていいよ。今までに共演してきた方とか、ぜひ対戦してみたい方とか。誰かいないかなぁ」
(`対戦してみたい,か……)
「あの…それって、俺らが個人的に対戦したい相手でもいいってことっすか?」
メンバー内で一番の負けず嫌い、マツジュンこと松本潤が口を開いた。
「あのさぁ、同じ事務所の先輩ってのはありなの?」
メンバー一の元気者、相葉ちゃんこと相葉雅紀はイスに反対に座り、背もたれをギシギシ言わせている。
「でも…、あの人たちが全員集まることなんて、実際ムリなんじゃない?」
こう言ったのは翔くんこと櫻井翔。彼は俺より年下なのに冷静で、本当はリーダーなんじゃないかと思うことがよくある。
「それ、誰なのか教えてもらえれば、こっちで交渉するよ」
岡島さんの言葉に、
「あっ、それなら大丈夫ですよ?」
涼しい顔でそう言って、ニノこと二宮和也が戻ってきた。
「さっきそこで、慎吾くんと吾郎くんが歩いてるの見ましたから」
「慎吾くんと吾郎くん…?みんなが対戦したい相手って、SMAPだったんだ?でも、またどうして?」
不思議そうな顔をする岡島さんに、俺らは顔を見合わせた。
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