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-小次郎side-
「透也!透也!」
俺の横では豊が体を乗り出して下を見ながら叫んでいた。
「…………」
俺はまた透也の手を掴めなかった…
後悔の念が俺を責める。
「くそっ!」
苛立ちを発散させるかの如く近くにあった木の幹を思いっきり殴る。
手から血が流れるが気にならない。
「二人共落ち着いて!」
薫の言葉に思考が冷静になる。
「そうだな…よし、豊アレを出せ」
「分かった!」
俺の言葉に豊はポケットの中から手の平にすっぽり収まる程の大きさの機械を取り出すと操作を始めた。
「それは…なんですの?」
機械をいじる豊を桜之宮が不思議そうに見ながら言う。
「朝、班の全員にプレートを渡しただろ?」
「ええ…」
桜之宮はポケットから黒色のプレートを取り出す。
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