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俺は赤石の後ろから出て来た猫を抱き上げる。
茶と白のソイツは人に慣れているのか、抱き上げても逃げようとしない。
「コイツ赤石ん家の猫?」
「ち、違うよ!」
俺の言葉に赤石は顔を上げると慌てて否定する。
そして再び俯くと何かをぶつぶつと呟いている。
「じゃあ、野良猫かな?でも、人に慣れてる…おっ!」
猫の首を見ると赤い首輪にタグが付いている。
タグを見るとタグには子供の字で『タマ』と書いてある。
「お前、タマって言うのか」
名前を呼ぶとタマは『にゃ~』と鳴き声をあげる。
「家猫が逃げ出したのか…」
赤石の方を見るとまだ顔を赤くして何かを呟いている。
「なぁ、赤石」
「はっ、はい!?」
俺が声を掛けると肩を震わせて顔を上げる。
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