赤色少女と猫と俺

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「……心配かけて悪かった」 俺がそう言うと赤石は俺から離れる。 「ううん…御木君が無事で良かった…」 目に浮かんだ涙を指で拭いながら赤石は言う。 「大丈夫か!?」 「「えっ?」」 いきなり俺に向けて掛けられる声。 俺と赤石が声のした方を向くとタマを轢きかけた大型トラックから逞しいオッチャンが降りて俺達に向かって走って来た。 「ゼェ…ゼェ…に、兄ちゃん…大丈夫か?」 手を膝に着いた状態で荒い息をしながらオッチャンは言う。 「だ、大丈夫です…」 「そうかい…そいつは良かった…」 俺が大丈夫そうなのを確認すると、オッチャンは胸を撫で下ろす。 「にゃお…」 「そうだ…すっかり忘れてた…」 腕の中のタマを見ると轢かれかけたというのにあくびをしていた。
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