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「わたくしは大丈夫ですけど御木君が…」
「えっ…?」
そう言われて初めて朱美さんは俺の存在に気付いたようで俺を見る。
「どうも」
俺を見た朱美さんに軽く頭を下げて挨拶をする。
「どうしてここに…?」
「実は…」
訝しげに俺を見てくる朱美さんに事情を話す。
「なるほど、そうでしたか…ありがとうございます」
事情を聞いた朱美さんは俺に頭を下げて言う。
「頭を下げる程の事じゃないですから!」
朱美さんに言われて慌てて否定する。
「じゃあ、桜之宮。俺は帰るよ」
「それでは車でお送りしますわ」
「良いって、そんなの悪いから」
「でも…」
「それじゃ、温かくしろよ!」
そう言って俺は桜之宮に傘を渡したまま雨の中を走って帰った。
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