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リョウがサヤカの髪を撫でてやる。
撫でられる度に、優しさを貰っているようで……サヤカには切なかった。
「ごめ……大丈夫。なんかさ、誰かが作ったご飯食べるのとか久しぶりで……ていうかあたし利華と逢ってから超涙もろくなってるし」
気にしないで。
そう言ってサヤカは立ち上がった。
「利華達帰っちゃったし……あたしも行くね。マジごめんね」
歩き出したサヤカの手を、リョウが掴む。
「待って」
――触らないで。
「もう少しだけ……」
――こんな自分に、触らないで。
「お願いだからさ……」
――あたしを、見ないで…。
「ずっとサヤカと話したかったし、逢いたかった」
――言わないで。
「好きなんだ。出会った瞬間から」
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