傍若無人な落ちこぼれ

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「アール………ずるい………」 私がしたかったのに………お礼に撫でられたかったのに……… そう呟くルーアと、 「………ティーダ……煙草は体に悪いと何度言えば分かる?」 割と真剣な顔のメイヤだ。 「元々………長生きする気はない。 それに此処でしか吸わんし俺の体だ。文句は筋違いだ。」 「…………………」 「…………………」 バチバチと火花が散る。 メイヤも我が強く、引かないが、ティーダもそのメイヤを血を色濃く受け継ぐ。 めちゃめちゃ頑固だ。 「……昔は母様と呼んでくれ、あれほど可愛らしかったというのに………」 ポツリとメイヤが呟くと、「悪かったな」とティーダが返し、煙草を灰皿に押し付ける。 そしてそのまま部屋を出ようとする。 ハラハラしてメイヤとティーダを見つめるアールとルーア達。 メイヤはティーダとすれ違う寸前に袖を掴んだ。 「待て………ずっと悩んでいたが………今決めた。 お前も学院に行け。ティーダ。」 「!?………正気か?」 これにはティーダも目を見開く。 突拍子のなさと、頭の悪い発言にバクラ譲りの目つきの悪さに拍車がかかった。 「勿論正気だ。丁度アール達も入学だ。(私達はティーダを過保護に扱いすぎた。ティーダが変わり始めたのは‘あの日’を境にだ。ティーダは私達が思っているよりずっと強い。心が。それに今ならアール達も………バクラも……何かあっても大丈夫だ。)」 メイヤは母親特有の慈愛と決意の瞳を見せたのだった。
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