傍若無人な落ちこぼれ

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そんなメイヤの心情を知ってか知らずか 「………断る」 とティーダは歩き出す。 「そうか………残念だ。」 ピタリとティーダは足を途中で止めた。 「………やけにアッサリ引くな……気持ち悪い………」 ティーダは嫌そうな顔で振り返り、呻いた。 「げぇ………」 と。 そこには、苦微笑するメイヤの顔があった。 「残念だよ……ほんと。 学院に行かないとなれば、仕方ないが、ヴェルフェリーナ嬢の所に花婿修行にでもいってもら………」 「おい!!」 ティーダはツカツカとメイヤに詰め寄る。 ゴチンと額同士がぶつかり合ったが、気にしない。 「てめぇ………脅す気か?」 目付きは鋭く、語気は低い。完全に不良のそれだが、生憎メイヤには効かない。 「てめぇとはなんだ? それに家には穀潰しを養う余裕は無い。 バクラの稼ぎでは裕福な暮らしは………」 メイヤが其処まで続けた所で、ルーアが口を挟んだ。 「あの母様………その嘘は余りに父様が不憫です………」 ルーアが申し訳なさそうに話す一方、ティーダはメイヤから離れ、煙草をくわえ火を付けて貰っていた。 「………んで……その嘘は何処までが嘘だ?」 フ~と紫煙を吐き出すティーダは、先の表情は嘘の様に消えていた。 「…………何故バレたのだ? まぁいいか……以前から申し出は来ていた。それだけだ。 どうする?」 「チッ…………分かったよ………」 ティーダは舌打ちして煙草を手にして、下に伸ばす。 すると、アールがスッと灰皿を構える。 ティーダは灰皿にグシャッと押し付ける。 「………とりあえず………朝飯にするわ……」 ティーダは開き直って部屋を後にする。 「「やったぁぁぁぁぁぁ!!!!?」」 「チッ………」 糞憎たらしい弟達の歓声を聞きながらティーダは舌打ちするのだった。
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