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「………コレは……どういう事だ………」
バクラは、赤子、後のティーダに止血を施し、抱き上げた。
その際に、呟くように漏らした………
「旦那様………恐れながら………魔力が無いのかと………」
バアヤが悲痛な面持ちでバクラに進言する………
「…………やはり……そうか……」
バクラは大きな溜め息を吐いて、泣きつかれて眠るティーダを見た………
「可愛い寝顔だ………しかし、この子に待っている未来を思うと、可哀想で仕方ない………」
そんなバクラの哀の表情は、母親であるメイヤに一番響いた。
「………すまぬ……私が……人並みでも魔力を持って生んでやれていれば………」
ティーダを責めず、己を責めるメイヤにバクラは肩を抱いてやり、赤子をメイヤに抱かせた。
「この子は可愛いだろう?」
「ああ…………」
メイヤは赤子の頬を撫で、仄かに微笑む。
「当然、私達の息子だからな。
だから、この子に訪れる危機、災難、不幸………
それら全てから私達は守ってやらねばならぬ。」
バクラの瞳は力強く言葉以上に意志を語った。
「そうだな………私の可愛い子供………
名前はティーダ………」
「ティーダか…………
良い名だ。」
此処に、バルマス家、当主バクラと妻メイヤは、息子ティーダを守ると誓いを立てたのだ。
ウェルカム………ティーダ。
この醜くも素晴らしき世界に………
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