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「神は我々を辱めた。だからその報いを受けてもらうのだ。もう一人の『神』によってな!」
男が胸元から何かを取り出す。それは闇色に輝く水晶のような物。
「それを返してもらおう」
それを見た瞬間、今まで全く変化しなかったシェリスの表情が強ばった。声にも僅かながら強みが含まれている。
「そうはいかん。これは我らの望みを果たすために必要な物だからな」
「ならば……」
シェリスが手を腰へと回し、引き抜くように何か取り出した。
それは剣。否、そこにあるべき刀身がない、柄のみの物だ。甲を守るように湾曲した金属板が取り付けられている金色のそれは、神々しさを纏っているようにも見える。
「力づくで奪うのみ」
柄を男に向かって突き出す。宣戦布告とでも言うかのように。
刹那、柄から光が細く伸び、70cmほどの長さの刀身――――レイピアを作り上げた。
両者が構え、互いが互いを目指し疾走を開始する。
今、闇と光の戦いの幕が切って落とされた。
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