アイドルを蹴落とせ！

六車藍子④

「それじゃあ、インタビューの件よろしくお願いしますね」

　電話の向こうで話し続けていた担当者は言いたいことを全て吐いたのか、躁状態で電話を切った。

　こちらは気の抜けた炭酸水のような返事をして受話器を置いた。

　ぐっと背もたれに身体を預け、両腕を後ろに反らす。背骨の頸椎と頸椎の間を広げるように伸びをした。

　自然と目を閉じ、「アーッ、もう」と奇声をあげる。

　きっと周りにいる社員達は私に奇怪な視線を注いでいるだろう。
　クスグルのマネージャーを降格させられた女がストレスにやられちゃってるといった視線だろうか。

　いいさ、いいさ、気にしない。哀れんでもらうよりか不気味に思われた方がマシだ。