六車藍子④

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 リリコがイタリアンレストランに姿を現したのは、それから十分後のことだった。 「もう道がわからなくてさ。この辺って迷路だよね」  甘ったるい声を響かせ席に着く。  遅れてきたくせに詫びの一つもない。  学生時代から時間にルーズなのは知っていたので、今更怒りもしないが、――気分は損なう。 「久しぶりじゃない。藍子から会おうなんて、どういう風の吹き回し?」
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