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―僕には親がいた。
僕を産んでくれた母親。
父はいない。僕がまだ赤ん坊の頃落石にあって死んだらしい。
だから顔は分からないしいたという実感もない。
母は僕が幼い頃から女手一つで僕を育ててくれたんだ。
だから僕は母が大好きだった。
だけど、ある日の朝、母は突然僕の前から姿を消した。不思議とお腹に満腹感のあった気持ち悪い朝のことだった。
その日僕は一日中泣いた。
涙が枯れても、声がかれても僕は泣き続けた。
その夜、夢を見た。
母の夢だ。
最初で最後の母の夢を見た。
次の日から僕は泣くのを止めた。
母が言っていたから。
僕は1人じゃないって。いつも心の中に母さんはいるからって。
だからなにも寂しくないんだって。
そう言ってたから僕は泣くのを止めた―
そして僕は目を覚ました。
とてもお腹をすかせながら、
僕は目を覚ました。
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