#01 『火鼠の皮衣』

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ξ゚⊿゚)ξ「月の人間は地球を忘れた。いや、長らく地球には立ち入りを禁じていた。理由が今分かったわ……」  彼女はまだ多少ふらふらしながら、何処かへと歩いてゆく。あるところで立ち止まると、そこに座り込む。 ξ゚⊿゚)ξ「……地球は一度文明を失いかけていた。先の大戦で、滅びかけていた。おかしいと思ったのよ」  地面から、何かが飛び出している。金属製の、よく分からないが、丸い板だった。赤い塗料なのか、それが中央に丸く塗られていて、真ん中に一本の太い白線があった。  彼女の話から察するに、これを使用していた時代があったのだろう。そして、その文明は滅びた。今は全てが地面の下。  だが何故、彼女がそれでショックを受けたのか。文明が地面の下となれば、僕が生まれるかなり前には失われていた。  だのに、月から来て、僕より若いであろう彼女が何故ショックを受けたのか。
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