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( ^ω^)「断るッ!」
いや、処理するなどと言っては失礼だったかもしれない。則ち目の前の蔦という「壁」を処理……つまり崩すことは、僕には少なくとも出来ない。
僕が叫んだ瞬間、足に力が漲る。これだ、この感覚こそツンの持つ力。不思議な感覚。今ならこの足で何処にだって突っ込める、そう錯覚させる。
しかし、敵は目の前の壁ではない。その向こうにいる。だから、無理してまで壁を打ち砕いた所で勝利に直接関与はしないならば、そんなもの無視してしまえばいい。
僕は竹を握りしめる。マニーが蔦で視界を自ら制限してしまったのが幸い、武器を拾うところを見られていなかったらしい。
火使いの男との戦いの時のような大きな竹では難しいが、今度は少し長めで、且つ細め。お世辞にも軽いとは言えないが、しっかりと握れば、振り回せそうではある。……いや、振り回すだけが竹に非ず。
思えば、人生について回って来たのが竹だ。手に取れば、不思議とどう使うべきかが解るような気がした。今の今かて例外ではない。
僕と敵との間に立ちはだかる蔦の壁には、ヒビ割れた壁のようにいくつもの隙間が存在する。とはいえど、再生をする、しかも植物で出来ているが故、殴って破壊などは愚かだと誰もがわかる。
ならば、と、腰を落とし、竹を真っ直ぐ構え、そして勢いよく地面を蹴り、全力で竹を突き出す。
¥;・∀・¥「ッ!」
蔦のおかげで屋根がなく、それで空が見えるとて元は部屋の中だ、マニーと僕との距離はたいしたものではない。互いの間に存在する蔦の作る壁の厚さなど知れたものだ。
一直線。ただそこに、一筋の道があればいい。ほんの一本だけ、光の突き通る道があればいい。そこから中を真っ直ぐ狙い撃てば、そこに敵がいる。
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