#02 『蓬莱の玉の枝』

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 いくら相手が本気だと言っても、たかが植物だ。操れると言っても、やはり形状は蔦のままである。完全に絡み合ったつもりだろうが、勢いをつければ竹で突いて通すくらいの隙間なら一瞬で作れる。おまけにツンの不思議な力で強化されている、それが一瞬でも突き通せないワケがない。  問題は通した後、マニーが脅威に気付いて竹を固定し、そのまま反撃に出る事だったが、それはすでに問題にならなかった。  何故、わざわざ『月』の力を必要としたか。単純に勢いが必要だったのもあるが、 ( ^ω^)「一撃だお……!」  やはり一撃。捕らえられも、反撃されたりもしない。防御や面倒な次の策などはいらない。  マニーの腹に竹が刺さる。拾いあげた竹の先を即座に研いだワケではない。  『月』で筋力が強化された状態だ、いかなる形状であろうと、ある程度硬く細い棒状の物ならば勢いさえあれば貫く事も可能だろう。  マニーの脱落により、蔦の力はなくなる。彼の力は、植物を操る能力。能力が切れれば、それはただの草同然。 ¥ ∀ ¥「……かぐや……様」  血へどを吐きながら、何やら服のボタンを一つ、引きちぎり口元へ近付け、絞り出すように掠れた声を出す。 ξ゚⊿゚)ξ「仕留め損なった……耐えた事への褒美、とでもしましょうか?」 ( ^ω^)「それ言うなら僕が言うべき台詞だと思うな」  その様子を、敢えて眺めるだけのツン。制止などしない。それが優しさのハズがない。ただのサディストなのか、はたまた何か他に考えがあるのだろうか……
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