#01 『火鼠の皮衣』

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 それでも諦め切れない気持ちは僕自身に否定することは出来ない。もう少し探索したかったが、とりあえず仕事はしなくてはならない。  竹が光ったなら、翌日行けばいい。竹じゃなくて移動する何かだったなら、それは人間だろう。僕は不思議な光のことは頭から外し、そのまま数本、めぼしい竹を切って山を下りた。 * * * * *  竹細工を作りながら、僕は空を見上げた。今夜は月が綺麗に見える。満月だから、という理由だけじゃないのだろう。  なんというか、精神面の問題、気持ちの問題だった。心の中はまるで幼少期によくあった遠足の前日の気分だ。  さっさと細工のノルマを終わらせて、山へ行きたい。そして、いち早く黄金の竹を拝みたい。 ( ^ω^)「黄金竹細工なんて作ったらバチがあたるかお……」  しかし、ここで僕はあることに気付く。 ( ^ω^)「くさい……コゲくさい……!?」  臭いは何処か、家の中ではない。台所で火の消し忘れではないとすれば心当たりがない。  どうやら臭いは外からだ。急いで外を見てみると、 (;^ω^)「うわあああああ」  普段切っていた竹を保管してある倉庫が炎上している。もうすでに手遅れ、今から火消しをした所で何も残らない。
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