#01 『火鼠の皮衣』

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 周りに燃え移る物が得になくてよかったが、しかし何故、こんな場所に火が……僕は考えた。  こんな場所で火が起こる要素はない。もしあるとすれば信じられないが自然発火……あるいは――― ('A`)「放火……だったらどうするね」  なんでもない、一人の男が燃え盛る火炎の中から姿を見せる。 (;^ω^)「えっ……!?」  炎の中を、何事もなかったかのように平然と歩ける男などいない。身体に炎が移って、焼け死んでしまう。  しかし、僕はそれを目の前で見た。俄か信じ難いが、目の前にいるってのはそういうことだ。 ('A`)「どーやらここじゃねぇみたいだな……何処だ?」  動けない。前に出ても後ろに退いても、先が見えない。下手に動けば自分がヤバイことは解る。 (;^ω^)「なんのことだお」 ('A`)「『月』を見なかったか? 本名はわからんが、女だ。ライトじゃないぞ」 ( ^ω^)「『月』……?」  どうやら人を探しているようだったが、全く知らない名だった。その女が街で犯罪でも犯してこんな辺鄙な地へ逃げて来たか。  いやしかし、何もいきなり倉庫に火を放つのか? 無断で? 隠れてる可能性があるってだけで?  僕は無意識のうちに落ちていた竹を拾いあげて構えた。
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