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『とうちゃーく』
真紀は高らかに言うと大きく伸びをした。
ここは地下の駐車場。真紀の甲高い声は辺りに響いた。
『こらこら、子供じゃないんだからそんなにはしゃがないの』
俺は苦笑いをする。
いや、真希はまだ子供なのかもしれない。
真希にそれを言うときっと怒り『もう立派な大人です』などと言い、立派な胸を強調して見せてくるが、真希にはそれでも子供らしいところはいくつもあった。
それでは、俺は大人なのか?
答えはノーだ。
というより、まだ分からないという方が妥当か。とりあえず、胸を張って大人だとは言えない。
それでは胸を張って大人だと言える真希は俺より大人かもしれない。
そんな思考を巡らせたことで、どうってことはない。今から、真希と買い物を楽しむのだ。今はそのことに集中しよう。
『エレベーター来たわよ』
真希は言った。俺は、おぉ、と曖昧な返事をする。
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