水煙

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    敦兄の座るソファーへと歩み寄り、隣に腰かけた。       二人して足元に視線を落とし、暫くの沈黙。     時計の音。     やたら煩い心臓の音。     俺は何も言えずただ敦兄の言葉を待つ。           どの位の時間が過ぎただろう。   長い長い静寂を破り、ようやく敦兄が口を開いた。       「俺…どうしたらいいのか分からない」       その言葉は頼りなく、あまりに悲しく響いた。           「お前はどういうつもりで俺にあんな事したんだ?」   敦兄が俺の方を見ていることを、視界の端が僅かに捉た。         どういうつもり?   愛しているからと言えばいいのか?   そんなの普通じゃない。   理由になんてなりはしない。      
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