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翌日、敦兄から1通の手紙が届いた。
両親へ宛てたそれは、心配いらないと短く書かれたもので。
敦兄が家を出た理由が分からぬまま、両親は頭を痛めていた。
結局決まっていた大学への入学は取り下げる事になり、特に母はショックが大きかったようで、その後仕事を辞め、家を空ける日はなくなった。
『いつ帰ってきてもいいように』と悲しい笑顔で言っていた母の願いも虚しく、敦兄が帰ってくることはなかったが、月に1度は必ず手紙が届いた。
内容はいつも心配するなといった短いものだったが、手紙の来ない月は無かった。
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