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『璃音、おはようっ』
教室に入り、真新しい鞄を降ろしていると聞き慣れた声。
顔を上げると、目の前に小雪が立っていた。
『おはよう、小雪』
ニッコリと上品に微笑み返す。
『やだ、璃音にはそんなキャラ合わないよ』
口元に手をあてて、小雪はコロコロと笑う。
色素の薄い、茶色い髪がフワフワと揺れた。
『だって、今日からマリアの生徒なのよ!?お嬢様でいくわっ!』
変な気合いに、ガッツポーズを入れている。
『そんな無理しなくても……それに生徒だから、じゃなくて、“あの人”に会うからでしょ☆』
整った顔で意地悪そうに笑う。
小雪は璃音と小学生の頃から、大の仲良しだった。
おしとやかな小雪に、元気が取り柄の璃音。
周りから見たら交わらなさそうだが、本人達は他の誰よりとも仲が良かった。
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