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「…へんな顔」
「なッ…!」
彼はそう一言言い残すと、再び眠りについてしまった。
「…ま、まぁ仲良くやってくれな!」
先生は苦笑いをしながら、逃げるかのようにその場を離れていった。
その後の私は忙しかった。
休み時間になると、クラスの女子が私の周りに集まり色々と質問をしてきた。
「どっから来たの?」
「誕生日いつ?」
「何て呼べばいい?」
他愛もない質問ばかりが私の上に降り注ぐが、私にとってその時間は苦ではなかった。
むしろ楽しいと思えるほどだった。
すると、隣に座っていた(寝ていた)茶髪の子がのそのそ体を起こした。
「ったく、うるさい…。ゆっくり寝られねぇじゃねぇか」
寝起きのせいか彼の目は鋭かった。
(確か、烈也くん…だっけ?)
機嫌が悪そうに話す彼に対し、私は先生が彼のことをそう呼んでいたのを思い出す。
「なによ、烈也。文句あんの?」
話に花が咲き始めているところを邪魔されたと思っているのか、私の隣に立っていた一人の女子が彼のことを睨みつけた。
「騒ぐなら違う所でやれ」
「はぁ? そんなに眠いなら、あんたが違う所に行けばいいでしょ!」
二人はお互いに睨み合った状態で停止する。
「…ハ、ハハ」
その様子を間近で感じていた私は二人に挟まれながら苦笑いをするしかなかった。
「…ったく、めんどくせェ」
ふと、くだらねぇ、とでも言いたげな態度で睨みつけるのを止めた彼は、そのまま教室から出て行ってしまった。
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