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学校に着くと、上履きに履き替えるために靴箱をあける。
靴箱には、上履きの他に手紙のようなモノが。
「また…か」
その手紙は、しっかりと封に包まれていて、表面には、『無月零さんへ』の文字が書かれている。
それは俗にいう、ラブレターというものだった。
私なんかの、どこがいいのか分からないけれど、たまにこうしたラブレターや、直接呼び出して告白されることもある。
今まで、その全てを、私は例外なく消してきた。
だから、今回も。
私はその手紙の中身さえ取り出さず、片手に持ち、空いたもう片方の手で、スッと、まるで黒板に書かれた文字や絵を、消すようになぞる。
それは最初から存在していなかったかのように、消えていく。
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