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「え~この度高原先生が個人の事情により、退職される事になりました、最後に高原先生から皆さんに挨拶があります」
その言葉が終わった時、ステージの横からすっと綾が進み出た。
無表情でやや疲れたような顔に、私の胸は締め付けられる。
綾は壇上に立つと、マイクを手に取った。
「この度、一身上の都合で退職することになりました。
短い間でしたが、ありがとう…」
「待ってください!」
その声に皆が後ろを振り向いた。
さやかも、秀一も、
そして壇上の綾までもが、驚いた顔で私を見つめていた。
皆に見つめられて足が震える。
でも言わなきゃ。
誤解されたまま、綾を学校から去らせる訳にはいかないんだ。
私はぐっと拳を握りしめた。
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