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体育館に皆の歓声が響いた。
綾は私から身を離し、私の手を引くと体育館の外に向かって歩き出す。
「たっ、高原先生っ!」
教頭先生が叫ぶ声に、綾はぴたりと足を止め、そちらを見た。
「すみません。教頭先生。俺は嘘をついてました」
綾はいつもの意地悪そうな笑顔を浮かべる。
「でももう嘘はつきません。
俺は彼女を愛してますから」
綾の手が私の手をぎゅっと握りしめる。
その手はとても柔らかく、あたたかった。
「千尋!今度なんかおごんなよ!」
さやかがぐっと親指をつき出す。
暴れる先生を押さえ込んだまま秀一も楽しげに笑った。
私は二人にVサインを向ける。
この事を紗英さんに一番に報告したい。
ちゃんと頑張れば、気持ちはちゃんと伝わるって事。
それを教えてくれた紗英さんに。
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