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職場はバスで終点の駅前ビルの一室。
ロッカーに荷物を閉まって、携帯をマナーモードにした事を確認したら、社員証を首から下げる。
バイトだけとこのカードは社員証って呼ぶの。
コールセンター内はこの社員証に埋め込まれた認証カードで出入りが出来る。
何時に会社に到着して、
何時と何時に(トイレ)休憩に行ったか、
何時にパソコンを立ち上げたか、
全部カードが管理してる。
その機械的な扱いが気に入ってる。
誰かに関わってこられるより、楽でいい。
認証カードが勤務時間を管理して、
休憩が長いほど、
多いほど、
勝手に給料から引いてくれる。
「休憩3分遅刻。」
とか、誰に叱られる事もない。
断りも必要無い。
すごく良いと思う。
カードは私に何にも聞かない。
彼氏はいるの?
とか、
どこに住んでるの?
とか。
年齢も。
週に何回働いて、いつ休むのかも。
シフトは月単位で希望を出す。
休んだら自分の給料が減るだけ。
働いているのは、学生サンが友達と一緒にとか、稼ぎたいけど水商売に向かない子とか(私も)、
昼職と兼業してる人やら。
夫の失業で家計を支えるために働いてる人も、
ローンに苦しんで時給の良いこの仕事に就いた人も、様々。
夜のコールセンターで、
受注の電話が鳴らない間、隣同志になった話し好きの女性同士が身の内話をしているのが聞こえた情報です。
私は誰とも絡まない。
ヘッドフォンをしたまま、マニュアルを何度も読んだり、雑誌をめくって過ごす。
化粧品や健康食品の日はとっても楽。
注文を聞いて、郵送先を聞く。
もし、商品について詳しい説明を求められたら、
「申し訳ございません。夜間の代行の者ですので…。」
と、社員が対応する時間帯の案内をして終わり。
日によって代行する会社や商品が違うから、
「夜中に土鍋、買いますかね?」
「深夜に、カラクリ置時計、買いますかね?」
って事もある。
でも買う人は居るのです。
そして、安心する。
世の中、どんな物でも需要はあると。
それを自分に重ね合わせる。
私も誰かにとっては、いつか、必要な人になる順番が回ってくる。
今は、そのタイミングを待ってるだけ。
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