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「やばい、!」
咄嗟にそれだけは言えて
扉から素早く離れる
すると
勇樹が訝しげに眉を寄せて
「は?何?」
「やばいんだよ…!!なんかあの…あれ階段のコンクリートが見えなくなるほどに人がいて…それで…」
自分で何を喋っているのかなんて分からない
あまりのことで
自分の頭はパニックに押し潰されそうだった
あの光景は
今までみた中でも
一番の異質
先生と生徒が
ごちゃまぜに
混じり合い
時折こちらに手を伸す
一人の手が
「ちょっお前!!」
頭の中で爆発的に思考が階段の彼等の手足に向き
この窓ガラスに伸ばされた手は
何処へいったのだろうと
想像し続け
息を吸えなくて
座り込んで空気を求め喘ぐ
その瞬間
俺は
一瞬だけ
彼の
勇樹の目と視線があった
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