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煙突掃除から戻ると、食卓の周りを回っておおはしゃぎする二人のお姉ちゃんたち。
きゃあきゃあとお猿さんみたいに、かな切り声を上げてる。
「どうしたの?」
あたしが聞くとママがあたしの顔をみて、げ、と顔をしかめた。
げ、はないでしょ。いくらすすだらけの顔だからって!
「何かあったの?」
べつに……とママは目を泳がせる。
その時お姉ちゃんたちが持ってた紙が、風に舞ってあたしの所にやって来た。
ふむふむ。
つまりお年頃の王子様に、結婚相手を探してるわけね?
国中の女の子を舞踏会に招待するなんて……なんて景気の良い王子様!
……これって税金の無駄遣いじゃないのかな。
でもステキ!
あたしもとっても美しくて格好良いっていう、チャーミング王子と踊ってみたい!
「シンデレラ、うんと良いドレスを仕立てといてちょうだい。」
「あたしのも」
あたしは有頂天な心地そのままで頷く。
それにしてもあたし信頼されてるなぁ。一生に一度あるかないかって時のドレスを、任されてるんだから。
責任重大だわ。
それにしてもあたしも楽しみ! ママの形見に、ステキなイブニングドレスがあったわよね? あれを仕立て直そっと。
「あんたは家事が全部終わらないと行ったら駄目よ! シンデレラ!?」
ん? 何か言った?
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