44人が本棚に入れています
本棚に追加
「ウソ……何で……?」
いよいよ舞踏会がある日の夕方。
テキパキといつも以上の手際よさで、早めに家事を終えたあたし。
逸る気持ちを押さえながら、ドレスの所に向かったの。
「……ママ――」
ママの形見のドレス――ススだらけの、びりびりになった布切れ――を掴み、さすがのあたしも戸惑いを隠せない。
パパが死んだ時以来だな。まぁパパに比べたら、ドレスの方が断然マシか。
……比べるところじゃないけどさ。
うんでもまぁ何てことないな。うん。ドレスくらい。
なのにどうしてだろう。
涙が出るのは――
最初のコメントを投稿しよう!