暗転

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「――だから私も舞踏会に来たムス――あぶっ」  まぁ案の定こうなるよねっ!  ていうワケでお城の門まで着いたところで、何やら門番に脇を抱えるように独特なエスコートをされているあたし。  舞踏会の会場……ではなく、とてもこじんまりしたお部屋に連れて行かれたわ。  さっきから門番さんたちと目が合わないの。シャイなのかしら。脇目も振らずに歩いているわ……お仕事熱心ね。  でももう少し愛想があるとステキかなぁ、とも思うの。 「なぜここに? 何者か?」  小さくスッキリした部屋の扉を開けると、お仕事熱心な兵隊さん、といった人が私を出迎えてくれた。  私は胸を張り、昔ママがしていたように、気品に溢れた様子で優美にお辞儀をする。ご無礼のないように。そして誇りを持って。 「こんにちは、兵隊さん。私はシンデレラと申します。 先日お城から招待状をいただいて、本日舞踏会が開かれると聞いて参りました。」  兵隊さんは呆気に取られたように、目をぱちくりさせながら私を見る。 「……その格好は?」  うーん、あたしのドレスに目を付けるなんてお目が高い。  なんちゃって。  例えどれだけそれが「奇妙な」ファッションでも、誇り高く、胸を張ってあたしは言う。 「母が大切にしていたドレスをもらい、私用に仕立てたんです」  ふわり、と舞ってみせた。
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