44人が本棚に入れています
本棚に追加
「――だから私も舞踏会に来たムス――あぶっ」
まぁ案の定こうなるよねっ!
ていうワケでお城の門まで着いたところで、何やら門番に脇を抱えるように独特なエスコートをされているあたし。
舞踏会の会場……ではなく、とてもこじんまりしたお部屋に連れて行かれたわ。
さっきから門番さんたちと目が合わないの。シャイなのかしら。脇目も振らずに歩いているわ……お仕事熱心ね。
でももう少し愛想があるとステキかなぁ、とも思うの。
「なぜここに? 何者か?」
小さくスッキリした部屋の扉を開けると、お仕事熱心な兵隊さん、といった人が私を出迎えてくれた。
私は胸を張り、昔ママがしていたように、気品に溢れた様子で優美にお辞儀をする。ご無礼のないように。そして誇りを持って。
「こんにちは、兵隊さん。私はシンデレラと申します。
先日お城から招待状をいただいて、本日舞踏会が開かれると聞いて参りました。」
兵隊さんは呆気に取られたように、目をぱちくりさせながら私を見る。
「……その格好は?」
うーん、あたしのドレスに目を付けるなんてお目が高い。
なんちゃって。
例えどれだけそれが「奇妙な」ファッションでも、誇り高く、胸を張ってあたしは言う。
「母が大切にしていたドレスをもらい、私用に仕立てたんです」
ふわり、と舞ってみせた。
最初のコメントを投稿しよう!