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「なんか可哀想なことしたかも」
確かに私は斉條くんのこと好きでもなんともなかったけど、あの言い方は酷かった気がする。
「いいんだよあれで。それとも斉條と付き合いたかった?」
「イジワル……」
私の気持ちを知っててこんなこと言うのだから。
「これで良いんだよ。中途半端な優しさで未練残されても困るだろ?」
「そっかそうだね」
「それにしても姫。どうして僕が姫のことを好きじゃないなんて思ったの?僕はいつもこんなにも姫への愛情で溢れているのに」
「あっ愛情って……だって高木くん付き合おうっては言っても、好きだとは言ってくれないし。冗談なのかと思ってた」
「そっかそれは僕が悪いよね。僕、恐かったんだ」
「恐い?」
「そう。付き合おうって言ったら姫は付き合いませんって言うだろ?」
「うん」
だって本気だなんて思えなかったもの。
「それと同じで好きだよ。って言って、もしも私は好きじゃない。なんて言われたら僕、絶対立ち直れないから。勝手に予防線引いてた。それが姫菜を不安させていたんだね。ごめんね?」
なんだそうだったんだ。
高木くんも私と一緒。
少し勇気が足りなかっただけなんだ。
「じゃあ改めて……姫菜?好きだよ。僕と付き合って下さい」
「はい。私も高木くんのことが好きです。よろしくお願いします」
二人顔を見合わせて声を出して笑った。
こんなにも簡単なことがどうして出来なかったんだろう。
お互い素直になったらこんなにも幸せな気持ちになれた。
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