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今日こそは、そう今日こそは絶対アイツの思い通りになんかなんないんだから。
「姫菜ぁー私お昼買いに行ってくるね?」
「待ってなっちゃん!!私も一緒に行くから!」
「えっ?でも姫菜……」
なっちゃんの言いたいことはよぉーく分かるよ?
でもね今日の私は一味違うの。
「いーの別に。約束してる訳じゃないもん」
そうよそうなのよ、約束なんてしてないんだから。
いつも何となく流されて、それがいつの間に普通みたいになっちゃったけど……
そう簡単にアイツの思い通りになんて絶対にならないんだから。
「ひーめーなちゃん!」
「ひゃあっー!!!」
「ほらやっぱり。私有華達とお昼食べるから。じゃあね」
「えっ!?待ってよ、なっちゃーん!」
なっちゃんは私の話なんて聞いていられない、といった感じでサッサと教室から出て行ってしまった。
うぅっ、なんでこうなるんだろ。最悪だ。
私河合 姫菜(かわい ひめな)に後ろからギューッと抱きついているのがさっきから私を悩ませてる“アイツ”の正体。
隣のクラスで何故だか最近私に付きまとっている男、高田 桔平(たかだ きっぺい)だ。
しかもこの男さっきから私の後ろから抱きついているだけでは飽きたらず、私の胸をやわやわと揉み「僕がもっと大きくしてあげるからね」
なんて私の耳元で無駄に甘い声で囁いてるんだからだ本当ろくでもない。
でもこの男のセクハラ行為に慣れてしまい、なにも言わない私もどうかと思うけど。
いやでもね、最近本当に胸が大きくなってきたの。
まぁそれにいち早く気がついたのがこの男だというのだから皮肉なものだ。
「姫本当に胸大きくなってきたね」
なんて真顔で言うものだから、あの時は本気で殴ってしまった。
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