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それから私と高木くんはクラスメイトや取り巻きの子達に温かく見守られ中庭へ向かった。
「姫の玉子焼き美味しー」
「ちょっと高木くん、自分のあるんだから私の分まで食べないでよ」
高木くんはさっきから私のオカズを勝手に食べている。
「えぇー僕のコンビニ弁当だし。それに姫のお弁当美味しんだもん。姫本当料理上手だね」
「あっありがと……」
お弁当は忙しい母に代わって、毎日自分で作っているのだ。
見よう見まねで作り、最近ようやく自分でも美味しいと思えるものになった。
だからそんな風にほめられると凄くうれしい。
「あっ姫、照れてる?可愛いー。今気づいたけど、姫ってもしかして今流行りのツンデレってやつ?」
「バカ」
せっかく見直してたと思ったらすぐこれだ。
「ねぇ高木くん?いつも高木くんが私のお弁当ほとんど食べちゃうから困ってるんだけど」
まぁその代わりに高木くんはいつもパンとかくれるけど、そういうんじゃないんだよね
「あっうん。そうだよね。ゴメン」
「謝ってほしい訳じゃない……高木くんのお弁当も作ってあげようか?」
こんなこと言うなんて恥ずかしくて、後半は聞こえないくらい小さな声でしゃべった。
「えっ?」
高木くんは案の定聞こえなかったようだ。
うぅっ。
「だーかーら!高木くんのお弁当も作ってあげようか?って言ったの!!」
半ば自暴自棄状態でしゃべった。なのに高木くんは
「えっ本当に?うわー、凄い嬉しいよ!」
と満面の笑みで、私にガバッと音のしそうな勢いで抱きついてきた。
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