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狭霧
「さて……と」
部屋の中央に向かい歩きだす。
その先にあるのは腹程度の高さを持った円筒形のコンソールだ。
数歩進んだだけで辿り着き、パネルを指先で弾きだす。
数秒の沈黙の後目の前の床が上に浮き上がり左右に割れた。
出来上がるのは縦横1m四方の正方形の穴。
『シリンダーのロック解除』
狭霧
「……お願い」
『了解しました』
エアロックが外れる音が響き、割れた地面から銀色をした円柱が現れた。
狭霧
「…………」
コンソールを更に叩き『言葉』を入力していく。
目の前のモニターに『LOADING』の文字が表示。
そして銀筒の前面が音をたてて開放された。
狭霧
「まだ起きはしない……か」
前を見つめ呟く。
薄紅の液体が満たされたシリンダーの中。
そこに裸体の少女がいた。
しかしそれは本当の生まれたままの姿ではない。
顔には包帯が左目を覆うように巻かれ、手首、足首、脇、首など全身の至る所に灰色の管が刺さるように繋がれていた。
その痛々しい姿に自己嫌悪の感情が溢れ出す。
狭霧
「しっかりしろ私……」
今するべきは自傷じゃない。
彼女を救い……新たに肉体を造りだす事だ。
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