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恭也
「くそっ……やっぱ腹括るしかねぇか……」
このまま扉の前で待っていても仕方無い。
俺は目の前にある扉に手を伸ばし…動きを止めた。
恭也
「あ、ノック忘れてた」
これから何が原因で怒られるのか知らんがとりあえず心象が悪くなることは控えねばならない。
恭也
「―ー……よしっ」
呼吸を整え―
恭也
「七瀬 恭也、只今出頭しましたーっ!」
バコンっ!
扉を蹴破っていた。
吹っ飛び、派手に転がった扉の先、初老に片足突っ込んだようなおっさん(署長)が目を大きく見開いている。
恭也
(不味い……気合い入れすぎた……)
つい学生時代のノリでやってしまった。
しかも、床に寝ている扉にはかなり高そうな装飾付いてる。
俺の安月給なら一撃でマイナスになりかねない見た目だった。
額から嫌な汗がじんわりと出ているのがわかる。
もう辞めてっ!恭也の預金残高はとっくにゼロよ!
誰だ今の……?
署長
「んんっ……!七瀬君」
突然した咳払いの音に正気に戻る。
おっさん(署長)の厳しい視線が俺を捉えていた。
……目元が若干引き吊っているのは年のせいでできた皺だと思いたい。
恭也
「はい、何ですか署長!どんな仕事でもどうぞ私に任せて下さい!」
署長
「うむ……威勢が良くてなによりだ」
そう言った署長の目線は俺の足元……もとい転がった扉に向けられたままだった。
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