転属辞令。行く先はどこだ?

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恭也 「クビだけは勘弁して下さいっ!」 俺はその場で土下座した。 世界経済がヤバいとか言ってる昨今、職を失うのはいくら何でもまずい。 俺みたいに警察になるため一本で来た奴なんかは特にだ。 他に技能なんて無いし再就職するアテなんかも無いからな。 なりふり構ってられるか。 そうして頭を下げたまま沈黙が訪れ― 署長 「ふぅ……とりあえず一つ良いかね?」 頭上でキンッと金属の擦れる音が響き煙草の匂いが部屋に薄く広がった。 署長 「君はさっき『どんな仕事でも任せて下さい!』と……言った」 だんだんと濃さを増す煙草の匂い。 署長 「その言葉に間違いはないな?」 恭也 「は……はい」 一瞬問われた意味が分からなかったが返事をする。 …なんで今そんな事聞くんだ? 不思議に思っていると頭の上でそうか…という声が聞こえ― 署長 「その言葉が私は聞きたかったんだよ。七瀬 恭也君」 恭也 「……どういう事ですか?」 フルネームで言われた事に違和感を覚えつつ顔を上げると、おっさん(署長)の口元が上に吊り上がっていた。 あれ?なんか嫌な予感。 署長 「七瀬君。君は一つ勘違いをしている」
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