第一章

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「たまたまだよ」 本当に偶然だと思ったわけではない。 照れ臭かっただけだ。 訓太は笑顔で答えた。 「たまたまさ。それも特に理由もなく見破った。そこなんだよ、肝心なのは。 それは僕達論理派のやる推理となんの違いもないんだ。推理だって外れるだろ? 霊感と呼ばれるものはあくまで、膨大な知識と確固たる根拠を元に構成された論理的なものなんだ。 ただ当の本人にそれを説明する事が出来ないだけなんじゃないかな? なんせ考えずに、感じてるんだから。霊感の正体はそれだと思う。 良太郎の飛び切りに発達した五感と、あり得ないくらい出来の良い脳味噌が成せる業だよ。」 正直、驚いた!この友人は勉強出来ない僕を笑う。だか、決して馬鹿にはしないのだけど。 だからと言ってここまで高い評価をされると、なんだかむず痒い…… しかし、たしかにこう言う解説をしてくれると、霊感と言う言葉が、いかがわしいものではないように思えてくる。
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