プロローグ

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授業が終わるとすぐ、携帯に電源を入れる癖がなかなか抜けない…… 彼女と別れて、経過した二週間と言う時間は、一年と三ヶ月に渡る習慣を忘れさせたりしないのだろう。 来ないメールを待つ為に、起動させられた携帯は、幾分機嫌が悪そうにのっそりと目を覚ました。 中学の時から付き合い始めた僕達が、違う学校に行く事になり、互いの時間を別々に過ごしたのだ。 愛があったとしても揺らぎかねない、その長く、短い別々の時間は、幼い二人の儚い恋を、いとも簡単に粉砕した。 僕の想い出の中で、彼女が屈託のない笑顔で話しかけてくる。 少し茶色の短めの髪を、左手でかき上げながら……
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