プロローグ

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教室のベランダに座り込み、僕は溜め息を着いた…… 僕の自慢のスパーキーヘアーも、この所元気を失くしている。 ツンツンに立てた髪の毛を、風が揺らして、頭皮を引っ張った。 L字型の校舎の南棟の三階に、髪の長い女子生徒が見えた。 その子の何処か儚げな様子を見ながら、考える。 職員室と格クラスの教室は西棟に、南棟は音楽室、美術室などの特別教室だ。 始業式の始めの授業で、南棟の三階のベランダに生徒が居るのはおかしい。 なんとなく目についた女子生徒を、やはりなんとなく眺め、そしてなんとなく感じた違和感を、頭の隅っこで転がして、弄んだ。 ――チャイムが鳴ってすぐにベランダをダッシュでもしたかな?―― ベランダは教室の内側から出入り出来るようになっていて、すべてのベランダは繋がっていた。 僕達生徒は外廊下と呼んでいるくらいだ。
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